仲介を依頼する不動産会社の選び方 |
【不動産売却はどの会社に依頼するかが一番のポイント】
売却したい不動産がいかに早く、いかに高く売れるか、また後々にトラブルの起きない安心な売買契約を結べるか、は売却を依頼する不動産会社により異なります。つまり、不動産売却の成否は不動産会社選びにかかっていると思います。どのような不動産会社に依頼すればよいでしょう。不動産会社の特徴を踏まえ、選び方を考えましょう。
【不動産会社にもタイプと得意分野があります】
売却を依頼する不動産会社は、宅地建物取引業の免許を受けた不動産会社であることが大前提となりますが、免許さえ受けていればどこでもよいという訳ではありません。同じ免許を受けているとはいえ、その取扱い業務はそれぞれの会社により異なります。大まかに分けると次のようになります。
●分譲業者
●賃貸業者 これらのうちマイホームや住宅用の土地の売却を依頼する相手先は、売買業者となりますがその中でも会社により
●売買業者 得意分野が異なります。
●専門業者
売却依頼を受けるのが得意な業者 |
不動産を適正に価格を査定できる専門知識を持ち、最適な売出し価格のアドバイスを得意とする会社。不動産の価値を引き出す為の施策、安心な契約を締結する為の契約内容の交渉などにも強みを発揮します。購入側の不動産会社に比べ不動産知識や権利関係の知識に高い専門知識が求められる。 |
購入依頼者を見つけるのが得意な業者 |
大々的な広告や、多くの営業スタッフを抱え、購入希望者を集客するのが得意な会社。住宅ローンやリフォームなど購入側に求められる知識に強い。たくさん顧客に対応するため、フットワークの軽さが求められる。
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これらの不動産会社の違いを見分ける事は、一般のお客様にはなかなか難しいですが、その会社の専門性を観察することが重要です。賃貸を得意とする会社や、購入側を得意とする会社でも、不動産の売却を取り扱うことに、法律上の問題は何もありませんし、結果的にうまくいくケースもあると思います。しかしながら、権利関係や境界、道路の法規制、地中埋設物、隣人トラブルなど不動産を売却する際のリスクは、挙げていけばキリがありません。何らかの問題点を事前に調べ上げ、買主とのトラブルが生じないように売買契約をまとめ上げる為には、専門的知識とある程度の経験が必要です。
引渡しが終わってから買主側に契約解除を申し立てられたり、売主に対する損害賠償請求や訴訟を提訴されては元も子もありません。
早く、高くはもちろんの事、安全な不動産売却を行う為には、【売却を受けるのが得意な会社】に依頼するのが基本といえるでしょう。
【査定価格が高い会社が高く売ってくれる会社?】
実際の不動産売却の際にはいくつかの不動産会社に査定を依頼して価格を比べる事になるでしょうが、査定価格が高いからという理由だけで売却を依頼するのは、得策ではありません。不動産会社の査定価格は売却できる価格を保証するものではなく、一部の会社では売却の依頼を受けようとするあまり、市場の相場とかけ離れた高い査定価格を提示することがあります。しかし実際には、最初は高い金額で売り出しはじめ、時間の経過とともに売却価格を下げ、相場周辺の価格で売却される事が多いようです。無駄に時間を浪費し、さらには売れ残っている不動産としてイメージ低下を招き、本来売却できた価格よりも下回る事にもなりかねません。
査定価格の提示を受ける際には、価格だけでなく、その根拠、周辺相場、自分の土地や建物のどこを評価しているのか詳しく聞いて見るとよいでしょう。
【大手の会社がよいか、中小の会社がよいか】
売却を依頼された不動産会社は、レインズという不動産会社間の物件情報共有システムに登録を義務づけられています。レインズに物件が登録されると、全ての不動産会社が同じように情報を見ることができ、自社の見込みのお客様に紹介することができます。つまり売却する会社の規模の大小にかかわりなく、同じように不動産会社間で情報共有がなされるのです。
ですから、売却を依頼する際には、他会社による買主の紹介を受けるのはもちろんの事、会社の大小に関係なく、どのような販売活動をしてくれるのかという中身を確認する事が重要です。また会社の規模が小さい、設立後の社歴が浅いなどといっても、営業担当者の実力とは直接に関係ありません。また宅地建物取引業の免許の更新回数が大きいほど、「営業経験が長く信用できる」と解説した本も見受けられますが、決してそれだけで、単純に判断できない事もあります。
内覧希望者を案内する際のポイント |
売却を成功させる為には、内覧希望者を案内したときによい印象を持ってもらうことが大切です。ちょっとした気遣いやマナーが満足できる売却につながるかもしれません。ここでは内覧希望者を案内する際のポイントをまとめています。
1 部屋の中をきれいにしましょう。
・玄関の清掃
家の顔である玄関の印象は重要です。きれいに掃除をして迎えましょう。
・水回りの清掃
主婦の目でチェックされるキッチン、浴室、トイレは特に念入りに掃除しましょう。また換気もしておくとよいでしょう。
・物入れ、クローゼット等の整理
内覧希望者は収納スペースもチェックしたいものです。収納内部が見せることができるよう整理整頓しておきましょう。
・照明器具も点検
汚れている照明器具の掃除や蛍光灯の電球が切れていないか点検しましょう
・ふすまや障子のお手入れ
破れたふすまや穴の空いた障子の補修にはそれほどお金がかかりませんので、できる限り補修しておきましょう。
・ご家庭の匂いにも注意
家の中はご家族が気づかない独特の匂いがあるものです。特にペットやたばこの匂いには注意が必要です。床や匂いのつきやすいカーテンなどは念入りに掃除をしましょう。
・庭のお手入れやバルコニーの清掃
雑草の生い茂った庭や汚れたバルコニーなどは、悪い印象です。お手入れや清掃を行いましょう。
2 心地よく明るい印象が大事です。
・内覧の際はできるだけ日中の明るい時間にご案内するようにしましょう。
・各部屋、浴室、トイレなどは照明をつけて明るい印象を与えましょう。
・ゆっくりとご覧頂ける様に必要なら、エアコンなどで室温調整をしましょう。
・カーテンやブラインドは開けて開放感のある印象を与えましょう。
・スリッパ等も準備すると良い印象を持っていただけます。
3 周辺環境、アピールポイントを整理しましょう。
内覧をされる方はいろいろと質問をしてくる事があります。お住まいの事はもちろんですが、スーパーや幼稚園、小中学校、バス停や駅などが周辺のどこにあるか、徒歩何分ぐらいか答えられるようにしておくと良いでしょう。特にアピールできるポイントがあれば、さらに良いでしょう。
4 可能ならリフォームして売る事も大事。
場合によってはリフォームする事で良い条件で売れる事もあります。しかしリフォーム工事にはそれなりの費用が必要です。その費用をかけてもそれに見合うだけの金額で売れるか、またどこをリフォームすべきか担当者とよく検討し、綿密に計画を練りましょう。
最適な売り出し価格を決めるために |
不動産の売り出し価格の設定は、売却を依頼する不動産会社選びの次に重要なポイントです。どれだけ魅力的な物件でも高すぎれば売れませんし、逆に問題の多い物件でも価格が適正ならば売れるのが不動産市場です。また売却スピードと売却価格は相反関係にあるため、売主様の状況によっても最適な売り出し価格は異なります。不動産の取引相場を正確に把握し、ご自分にとっての最適な売り出し価格を設定するために、価格を決める際のポイントを確認しましょう。
一括サイトで数社に査定を依頼する
不動産の取引相場を把握し、不動産がいくらで売れるのかを判断するには、それなりの専門性と経験が必要になります。そこで不動産会社へ査定を依頼する訳ですが、1社だけではそれが取引相場に沿った金額なのか比較をすることができません。一括査定サイトなどを利用するなどして、複数の会社へ査定を依頼して、まずは全体の金額の幅を把握しましょう。本来ならばどこの業者も大きな開きはないはずですが、他社に比べて極端に高い査定金額を提示してくる場合もあるからです。また安すぎる査定も担当者が相場を把握しきれていない可能性があります。それらも踏まえ、金額の幅を把握することが大事です。
査定価格に売主様のご事情を含め売り出し価格を決める
取引相場の金額の幅を把握したら、あなたの所有する不動産をいつまでに売却したいのか、売却期限を担当者に伝えましょう。通常、不動産会社は現在の相場で3ヶ月いないに売却できるであろう金額で査定金額を算出します。しかし、売主様によって住み替えのために今すぐ現金化したい方や、親から相続した財産のためゆっくりでも良いから高い金額で売却したい、など事情はそれぞれです。不動産会社の査定額を目安に、担当者に相談しながらご自分の売却期限とバランスをとり売り出し価格を決めましょう。ただし高めの売出価格を設定する場合でもあまりにも高すぎる金額によって、売れ残りのイメージ低下を招いては、本末転倒です。
値下げの方法と効果 |
小刻みな値下げを繰り返す
多くのインターネットサイトでは、実際はほんの少しの変更だったとしても、登録情報が更新されるのでまるで新着物件の様に扱われます。ですから多くの人の目に触れさせるために、小刻みな価格の下げ方を行うという考え方もあるでしょう。しかし、残念ながら経験上期待したほどの効果が現れないのが現状です。なぜなら今の買い手は不動産会社と同様に物件の動向を非常に良く観察しています。
そうした購入検討者は、サイトで新着物件として上がってきたとしても、以前から販売していた物件が少しだけ価格変更したに過ぎないということはすぐにわかります。またこのような細かい価格変更を繰り返していると、買い手は「価格が下がった」というよりは「また下がった」「どこまでさがるだろう」「もう少し待てば下がるかもしれない」などと売る側の足下を見始めてしまいます。結果、売却するために価格を下げたにもかかわらず、逆に売れづらくなり、意味のない価格変更となってしまいます。
インパクトのある1回のみの値下げ
例えば2,180万円の物件を1,980万円へ値下げする様な、購入者にとってインパクトを与えられる下げ幅を1度だけ行う値下げ方法です。
インパクトのある値下げは、この動きを観察していた購入検討者に「一度にここまで下がったら他の人に買われてしまう」「今が買い時だ」とさっきとは逆に購入意欲を刺激されます。不動産会社の営業マンに対してもインパクトがありますから「ちょうど200万円下がりましたから今が買い時ですよ」と強気の営業をしてもらいやすくなります。購入検討者が信頼している営業マンが本音でお勧めしてくれるかどうかは、売却の大きなポイントです。
また多くの購入検討者は自分の予算帯を必ず持っていますから、一度の値下げで多くの検討者を増やすことにもなります。結果、購入の競争が起きやすくなります。競争心理からさらに購入意欲が刺激され、次のステップへ進んでいくのです。
値下げの仕方1つをとっても不動産会社の実力が問われる
上記二種類の値下げの方法をご紹介しました。値下げ価格は最終的に同じでも、そのプロセスが違うだけで購入検討者に与える印象は全く違ったものになります。ただこのような効果的な値下げを行うには、大体どのくらいの価格で売れるのかを、不動産会社や担当者が把握し、なおかつその根拠を正確に伝えてくれる会社でなければ、売主様の理解を得ることはできません。
数回に刻んで下げていくやり方は一見、少しでも高く売れる可能性を残してくれる方法に見えますが、実は不動産会社やその担当者が、実際にいくらで売れるか分からず自信が持てないということの裏返しともいえます。”とりあえず細かく刻んで様子見ながら”・・・という恐る恐るでは、売れるものも売れません。値下げ1つとっても不動産会社や担当者の実力が問われるのです。